今回は、若年性の薄毛、いわゆる「若ハゲ」に悩む多くの患者さんと向き合ってこられたAGA専門クリニックの医師にお話を伺いました。先生がまず強調するのは、「若年性脱毛症は、決して珍しい病気ではない」という事実です。「20代、30代で薄毛の進行に気づき、クリニックを訪れる方は年々増加しています。しかし、その多くが『年のせいではないのに、なぜ』と、大きなショックと孤独感を抱えています。私たちが最初に行うのは、その悩みを共有し、症状が医学的なメカニズムによって引き起こされていることを理解していただくことです」診断は、まず詳細な問診から始まります。いつから気になり始めたか、家族に同じ症状の人はいるか、生活習慣はどうか、といった情報を丁寧に聞き取ります。その後、マイクロスコープを用いて頭皮の状態を数十倍に拡大して観察します。ここで、毛穴から生えている髪の本数や、一本一本の髪の太さにばらつきがないか、細く短い「軟毛化」が進んでいないかを確認し、AGAの進行度を客観的に評価します。AGAと診断された場合、現在の医療では、進行を抑制し、改善を目指すための有効な治療法が確立されています。その治療の二本柱となるのが、内服薬と外用薬です。内服薬としては、AGAの原因物質であるDHTの生成を抑える「フィナステリド」や「デュタステリド」が用いられます。これらは、ヘアサイクルの乱れに根本からアプローチし、抜け毛を減らす効果が期待できます。一方、外用薬の代表である「ミノキシジル」は、頭皮に直接塗布することで血行を促進し、毛母細胞を活性化させて発毛を促します。先生は、「治療で最も重要なのは、早期発見・早期治療です。AGAは進行性のため、放置すればするほど、治療の効果が得にくくなります。インターネット上の不確かな情報や、効果の証明されていない商品に時間とお金を費やす前に、一度勇気を出して専門医に相談してほしい。それが、悩み解決への最も確実な近道です」と語ります。
専門医が語る若年性脱毛症の真実と治療法