AGAのメカニズムを語る上で、遺伝的要因は避けて通れません。実際、AGAは遺伝性の疾患であることが広く認識されており、家族に薄毛の人がいる場合、その発症リスクは高まると言われています。遺伝が関与しているのは、主に5αリダクターゼ酵素の活性度と、アンドロゲンレセプターの感受性、この二つの特性です。5αリダクターゼの活性が高い人は、テストステロンがDHTに変換されやすいため、AGAを発症しやすい傾向にあります。また、アンドロゲンレセプターの感受性が高い人、つまりDHTとの結合力が強い人も、わずかなDHTの量でも脱毛が進行しやすいと考えられています。これらの遺伝的特性は、X染色体上のアンドロゲンレセプター遺伝子に関連していることが分かっており、母親からの遺伝もAGAの発症に重要な役割を果たすとされています。AGAの主要なメカニズムはホルモンと遺伝によって説明されますが、ストレスもまたAGAの進行を悪化させる可能性のある要因として注目されています。精神的なストレスや肉体的なストレスは、自律神経のバランスを乱し、血管を収縮させることで頭皮への血流を悪化させることがあります。頭皮への血流が悪くなると、毛髪の成長に必要な栄養素や酸素が十分に供給されなくなり、毛髪の成長が阻害される可能性があります。また、ストレスはホルモンバランスにも影響を与えることがあり、間接的にAGAの進行を促進する可能性も指摘されています。もちろん、ストレスだけでAGAが発症するわけではありませんが、遺伝的素因を持つ人にとっては、ストレス管理もAGA対策の一環として非常に重要であると言えるでしょう。