フィナステリドによるAGA治療を、1年間、真面目に続けてきた。しかし、期待していたほどの、明確な効果が感じられない。抜け毛は、少し減ったような気もするが、見た目上の変化は、ほとんどない。そんな時、私たちは、どのように考え、次の一手を、どう打つべきなのでしょうか。まず、大切なのは、「効果がない」と、自己判断で、すぐに治療を諦めてしまわないことです。効果の実感には、個人差があり、1年以上経ってから、ようやく変化が現れ始める、という、スロースターターのタイプの方も、稀に存在します。まずは、処方を受けている医師に、現状を正直に相談し、専門的な視点からの評価を仰ぐことが重要です。医師は、マイクロスコープで頭皮の状態を比較したり、写真判定を行ったりして、本当に効果が出ていないのか、それとも、自分では気づかないレベルでの、わずかな改善が見られるのかを、客観的に判断してくれます。その上で、もし、本当に効果が不十分であると判断された場合、いくつかの、次の戦略が考えられます。第一の選択肢は、「治療薬の変更」です。フィナ-ステリドが、2型5αリダクターゼのみを阻害するのに対し、1型と2型の両方を、より強力に阻害する「デュタステリド(ザガーロ)」への切り替えです。これにより、より強力にDHTの生成を抑制し、フィナステリドでは得られなかった、高い発毛効果が期待できる場合があります。第二の選択肢は、「ミノキシジルの併用」です。もし、これまでフィナステリド単剤で治療を行ってきたのであれば、発毛を促す「攻め」の薬である、ミノキシジルの外用薬、あるいは、より強力な内服薬を、治療に加えることで、状況が大きく変わる可能性があります。「守り」と「攻め」の両輪で、AGAにアプローチするのです。そして、第三の選択肢として、「髪育注射(メソセラピー)」などの、注入治療を検討することもあります。成長因子などを、頭皮に直接注入することで、薬だけでは反応が鈍かった毛根を、直接的に、そして強力に、活性化させることを狙います。大切なのは、一つの方法で効果が出なかったからといって、AGA治療そのものを、諦めてしまうことではありません。現代のAGA治療には、様々な武器と、戦略が存在します。信頼できる医師と共に、あなたにとっての、最適な次の一手を見つけ出すこと。それが、勝利への道を、再び切り拓くための、鍵となるのです。