「フィナステリドを、もう1年も飲み続けているのに、全く効果が感じられない」。ごく一部ではありますが、残念ながら、このように、期待した結果が得られない方も存在します。その背景には、いくつかの、考えられる理由があります。まず、最も根本的な問題として、「薄毛の原因が、AGAではない」可能性です。フィナステリドは、あくまでも「男性型脱毛症(AGA)」に特化した治療薬です。もし、あなたの薄毛が、脂漏性皮膚炎や、円形脱毛症、あるいは、甲状腺機能の疾患といった、他の原因によって引き起こされている場合、フィナ-ステリドを服用しても、効果はありません。AGA専門のクリニックで、医師による正確な診断を受けることが、治療の第一歩として、何よりも重要です。次に、「AGAが、極度に進行してしまっている」ケースです。AGAの進行によって、毛根の細胞(毛母細胞)が、完全に活動を停止し、死滅してしまっている場合、もはや、フィナステリドでDHTの生成を抑えたとしても、そこから再び髪の毛が生えてくることは、期待できません。治療の開始が、早ければ早いほど、効果が出やすいと言われる所以です。また、生活習慣の乱れも、薬の効果を妨げる、大きな要因となり得ます。慢性的な睡眠不足、栄養バランスの悪い食事、過度なストレス、喫煙といった、髪の成長を阻害する悪しき習慣を続けていては、せっかくの薬の効果も、相殺されてしまいます。そして、意外と見落としがちなのが、「偽造薬」を服用している可能性です。特に、医師の処方を受けずに、インターネットなどを通じて、安価な海外製のジェネリックを、個人輸入している場合に、このリスクは高まります。有効成分が全く入っていない、あるいは、不純物が混入した偽造薬では、効果がないどころか、深刻な健康被害を引き起こす危険性すらあります。もし、1年以上、正規のルートで処方された薬を、真面目に服用し続けても、全く効果が見られない場合は、一度、治療方針を見直す必要があります。デュタステリドへの変更や、ミノキシジルの併用、あるいは、注入治療といった、より強力なアプローチを、医師と相談してみるべきでしょう。