高血圧と薄毛の関係を語る上で避けて通れない最悪の増悪因子、それがタバコです。もしあなたが薄毛を気にしながら、あるいは血圧を気にしながら喫煙を続けているとしたら、それはアクセルとブレーキを同時に踏むどころか、崖に向かってフルスロットルで加速しているようなものです。タバコに含まれるニコチンには強力な血管収縮作用があり、吸った直後から全身の血管がキュッと縮まり血圧が急上昇します。ただでさえ高血圧で硬くなっている血管にさらなる圧力をかける行為は自殺行為に近いですが、頭皮にとってはまさに兵糧攻めです。血管が収縮することで毛根への血流は途絶え、髪は酸欠状態に陥ります。さらにタバコは体内で大量のビタミンCを消費させますが、ビタミンCは血管を丈夫に保つためにも髪を作るためにも不可欠な栄養素です。これが枯渇することで血管はボロボロになり、髪は育つ材料を失います。また喫煙によって発生する活性酸素は細胞を酸化させ老化させますが、毛母細胞もその標的となり、白髪や脱毛を促進させます。研究データにおいても喫煙者は非喫煙者に比べてAGAの進行が早く、治療薬の効果も出にくいことが明らかになっています。高血圧と薄毛という二つの爆弾を抱えている人にとって、喫煙はその導火線に火をつける行為に他なりません。「ストレス解消のために吸っている」という言い訳をよく聞きますが、喫煙による一時的なリラックス感はニコチン切れのイライラを解消しているだけであり、身体的には吸うたびに血管を痛めつけて猛烈なストレスを与えています。禁煙すれば血管機能は比較的早期に回復を始め、血圧が下がり、肌や髪への血流も戻ってきます。実際に禁煙外来に通ってタバコを辞めた患者さんからは「抜け毛が減った」「髪にツヤが戻った」という声が多く聞かれます。薄毛を治したい、血圧を下げて健康でいたいと本気で願うなら、まずすべきことは育毛剤を買うことでも降圧剤を飲むことでもなく、タバコという最悪の習慣を断ち切ることです。その一本を我慢することが、あなたの髪と命を守る最大の防御策となるのです。