喫煙は、AGAの進行を悪化させる要因の一つとして考えられています。タバコに含まれるニコチンは血管を収縮させる作用があり、頭皮への血行を悪化させます。毛髪の成長には十分な血液供給が不可欠であるため、血行不良は毛母細胞への栄養供給を阻害し、髪の毛の成長を妨げます。また、喫煙は活性酸素を増加させ、体内の抗酸化作用を低下させることで、毛包にダメージを与える可能性も指摘されています。さらに、喫煙は男性ホルモンの分泌バランスに影響を与える可能性も示唆されており、間接的にDHTの生成を促進する可能性も考えられます。これらのメカニズムを通じて、喫煙はAGAの進行を加速させるリスク要因となり得るため、AGA対策を考える上では禁煙が推奨されます。AGA治療薬は、そのメカニズムに基づいて大きく二つのタイプに分けられます。一つは、5αリダクターゼの働きを阻害することでDHTの生成を抑制する内服薬です。これにはフィナステリド（プロペシア）やデュタステリド（ザガーロ）があります。フィナステリドは主にII型5αリダクターゼを、デュタステリドはI型とII型の両方を阻害することで、DHTの濃度を低下させ、毛周期の正常化を促します。もう一つは、毛母細胞に直接作用して髪の成長を促進する外用薬です。代表的なのがミノキシジルで、血管を拡張して頭皮の血流を改善し、毛母細胞の活性を高めることで、休止期の毛包を成長期へと移行させ、髪の毛の成長を促進します。これらの薬剤は、それぞれの作用メカニズムによってAGAの進行を抑制し、発毛を促進する効果が期待されます。